沢木耕太郎のエッセイ【チェーン・スモーキング】を読んでいる。
「このあいだ、こんなことを聞いたよ。子供が大きくなって言うことをきかないだの、孝行をしないだのと親は文句を言うけど、あれはまちがっているんだってさ。子はね、三歳までに、親に恩は返しているんだってさ」
「三歳までに?」
「そう。三歳までの子供は可愛いだろ。だからさ、その可愛さで親にもう恩返しをしているってわけさ」(P71)
コロナで留学が延期になったものの、つい最近1年越しに日本を発った女性芸人を思い出す。
もう何年も前にTVで「うちの親は”あんなにやってあげたのに”って言い方ばかりするんだけど、私は子どもは三歳までに親孝行を終えていると思うんだよね」と彼女が語る姿を私は確かに見た。
オトナの留学。自分のことを知らない人しか居ない環境ってどんな感じだろう。気楽だろうか。不安だろうか。
周りに意地悪な知り合いがおらずとも、自分として何年も生きていると、自分ですら自分に『自分らしく』と暗示をかけていて、洋服や行動に制限がかかっていたりするので、妄想の時点では羨ましい限り。
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